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2009/11/08

Singapore Burning 第四部 (つづき)

22 (ゲメンチェン川の戦闘)
 ベネットがいささか空想的であったとしても、豪州兵が良いスタートを切ったことは否定できない。
 1月14日、午後4時20分頃、ジャック・ダフィー大尉は野戦電話で通報していた。いま、自分の声の聞えそうな数フィート先を、日本の銀輪部隊が通り過ぎ、橋の上を通っている、と。次の瞬間に起こった出来事は、ダフィー自身をも十分に驚かせるものだった。巨大な真っ赤な火柱に、日本兵の身体、自転車、材木、石ころ、土くれが巻き上げられていた。ここは鉄道交差路、ゲマスの街の北西7マイルほどのゲメンチェン川にかかる橋である。この爆破はマレー戦線での第8豪州師団の参戦開始の合図となった。ダフィーの中隊は、くじに当たって号砲を放つ栄誉を担った。
 この待ち伏せ攻撃を担当したのは、「ブラック・ジャック」こと、フレデリック・ゴルガン中佐指揮の第2/30大隊である。中佐は、攻撃前夜、「AIF(オーストラリア帝国陸軍)のみならず、オーストラリアそのものの名声が部隊の双肩にかかっている」、と中隊長を集めて訓示した。
 橋の爆破で混乱した日本軍は、切通しに潜む豪州兵の掃射を受けた。橋を通り過ぎていた日本兵は引き返し、乱戦に参加した。日本軍の回復力は常の如く敏速で、6時間ほどで橋は修復された。翌朝、日本軍はゴルガンの持ち場に、歩兵の掩護のもとに戦車を仕向けてきた。ゴルガン側は、25ポンド砲、迫撃砲のほか2基の対戦車2ポンド砲を装備していた。戦車は撃退されつつあった。しかし、日本側は、燃える戦車の車体にオイルをかけて煙幕を張った。日本兵はその脇から飛び出してきた。その勇気には感心せざるを得なかった。砲火がおさまり、聴力がよみがえると別の音が聞えてきた。右方に友軍の歩兵が空に向かってライフルを振り上げ、歓声を上げていた。こちらもお返しした。それは誇りの瞬間だった。1台の戦車には、開いたハッチの穴のなかに、まるでビリヤードのポケットのように榴散弾が飛びこんでいた。それがなかの弾薬に当たると、打ち上げ花火になった。故郷のエンパイヤ・デイの花火をみな思い出した。
 昼下がり、ダフィーが橋を爆破してからおよそ24時間後、やるべきことはすべてやった、と、ゴルガンは撤退することにした。それは簡単な仕事ではなかった。日本兵は果敢に向かってくる。中隊はこれに取り合わざるを得ず、潰走に陥らぬよう、全員でつねに連絡を取り合わねばならなかった。25ポンド砲4基は、雨に濡れるゴム園の泥沼にはまって歩兵部隊に追い越されてしまった。1基は何とか引き上げて牽引されて行ったが、残りは救う時間がなかった。砲座と照準を外されて棄てられた。「パニックで逃げ出した、と日本人に嘲笑されるのは嫌だなー」、ケネス・ハリソン砲兵曹長は懸念した。
 しかし豪州兵はよくやった。まる二日間の戦闘で、日本軍の打撃の方が大きかった。その勇敢さは辻大佐も評価している。ゴルガンの被害は、戦死17(うち将校1)、戦傷55(4)、行方不明9だった。負傷者は、前線の応急所から救急車でセガマットの野戦病院に送られた。日本軍は、砲火のなかにあっても赤十字の車輌は尊重した、豪州兵の印象に残るところであった。
 1月13日、かれらの戦いの間に、増援軍がシンガポールの埠頭に到着した。幸い雲が低く垂れ込んでいたので空襲には遇わなかった。セシル・デューク准将の第53旅団である。ノーフォークの2大隊、ケンブリッジシャーの1大隊で構成されていた。梱包された51機のハリケーン戦闘機も積まれていた。英軍の崩壊が止った、という噂が突然流れはじめた。ラジオのアナウンサーは、オーストラリア人を「大洪水の護岸壁」と形容した。ムードは伝染し、RAFは、占拠された飛行場の夜間攻撃をはじめて日本軍を驚かせた。そして日中も、ゲマス北方の幹線道路を通行する日本の輸送隊と戦車を襲った。シンガポールに基地をおくオランダの6機のグレン・マーチン爆撃機が作戦に加わった。グレン・マーチンが高度爆撃を行う一方、6機のブレンハイムと18機のバッファロが低空爆撃を行った。爆音が聞えれば自分たちのものと思いこんでいた日本兵は慌てた。モウブレイ・ガーデン大尉のバッファロが追い込んだ日本機は、不時着を余儀なくされたが、パイロットはマレー人群集に取り巻かれ、ピストルで応戦しようとしたが、結局自らの頭を撃ちぬいた。
 記者会見で、ベネットは、山下を押し止めるのみならず、日本軍を防禦姿勢に追いやる、と約束した。しかし厄介なニュースが飛び込みつつあった。南西方向のムアール河口に日本軍が上陸し、第45インド旅団を押し戻し、豪州陣の左翼を脅かす存在になってきたのである。
 
  
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