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2009/05/29

Alliance - 14 虹の彼方に(オーバー・ザ・レインボウ)

 テヘラン
 1943年11月28日ー12月1日
ー世界の中心   チャーチル


Ⅰ   11月28日
 「やっと!お目にかかれて嬉しいです」。世界最強の国の指導者は、唯一、かれに対する挑戦者と思われる人物に手を伸ばした。「長いことこうしたいと思っていたのですよ」。 胸にレーニン勲章をつけ、辛子色のチュニックに赤線の入ったズボンのスターリンは、紺のスーツで車椅子に座ったルーズベルトと握手をした。ここは中庭のあるテヘランのソ連公使館で、二人は警護の問題からここに宿泊することにしていた。チャーチルは、200メートルほど離れた英国公使館に滞在した。会議場もソ連館に設定された。しばらくの間、このあたりが世界の中心になるのである。
 スターリンの娘が憧れている、警察長官ベリアの息子、セルジオは、お客の盗聴係りだった。「かれらは聴かれているかも知れないのに、そんな開けっ広げな話をしているのか?」、アメリカ人の会話の報告を受けたスターリンは感心した。ルーズベルトがマイクのあることがわかっているのだとすれば、二枚舌、三枚舌の問題である。判断を間違えさせようとしているのか、そうでないのか?それはたいした問題ではいのかも知れない。ルーズベルトのテヘランへきた目的は、ソ連を国際社会に引き込む、孤立し、不満を持つロシアを作らないことにあった。スターリンは病的に疑り深かったが、個人的な関係を確立すれば大丈夫だろう。ルーズベルトは確信していた。
 通訳のほかに、ハリマンとホプキンスが同席した。ホプキンスはすでにスターリンと旧知の間柄であり、スターリンは特別な個人的配慮をかれに示していた。ほかに陸海軍の将官が加わり、スターリンには、モロトフ、ヴォロシーロフ、通訳ほか、チャーチルにはイーデン及びブルックほか将官が従った。 アメリカは戦線の概況を報告した。太平洋では海軍力のほとんどと100万の兵力が日本に向けられていた。いかに中国を活用するかが問題だが、日本をできるだけ早いスピードで攻撃することが重要である、と語った。ヨーロッパでは、輸送の困難性が海峡横断作戦の日程確定を阻んでいる。チャーチルは、オーバーロードの実行の前に地中海作戦の実施を主張した。またチャーチルはスターリンに、ソビエトを助ける最良の手段は何か、と質問した。スターリンはルーズベルトに向かって、それが一番聞きたかったことだ、と言った。極東ソ連軍は防禦には充分の兵力だが、攻撃となるとその3倍が必要である。ドイツを負かすまでは無理だが「それから、われわれは連合して日本を攻略できる」。
 対独戦争に移った。ドイツ軍は210個師団、東欧枢軸軍から50個師団を東部戦線に投入している、赤軍は330個師団、しかしイタリア攻撃が地中海の海運を開放しても戦いの進展には余り価値はない。最良策はフランス攻撃である、とスターリンは主張した。これに対するチャーチルの話は冗長で、みなの反感を買った。スターリンの目的は、早い時期にノルマンディ上陸を決定する、それだけだった。1941年に、自分が最初に第二戦線を強要したとき、ソビエトは悲惨な状況にあった。いまこれを要請の核心としている理由は、戦争が終わったとき、確保したソ連の安全地帯を確定したいからだった。ルーズベルトはスターリンの望んだことをみな聞いてやった。チャーチルは、スターリンの抜け目なさにアメリカ人の近視眼が輪をかけて、どこへ行くとも知れぬ危険地帯に入り込んでしまった、と日記に書いた。 
 夕食会で、ドイツは分割されるべきだ、とスターリンは強調した。しかし、無条件降伏の原則が、ドイツ人を結束させてしまわないか、と疑問を持っていた。突然ルーズベルトは青ざめた。消化不良による発作で車椅子のまま外に出て、夕食会には戻らなかった。チャーチルはその機会にスターリンと二人だけで話し合った。ドイツはヴェルサイユのあと急速に復興した。また同じことが起こりかねない。再軍備をさせてはならない。すべての航空事業を禁止し、ドイツの工場は監視下におくのだ。ロシアは陸軍を保有し、英米は空軍と海軍を持つーわれわれは平和の保証人になるのだ、とチャーチルは言った。ポーランドがソ連に割譲した土地の見返りに、「ドイツのつま先に少し踏み込んだ土地をロシアがとったらどうですか?国境線を引いてみましょうか?」、「はい」。
 チャーチルは3本のマッチ棒を使ってポーランドの国境がどう動くか、を示した。これは「スターリンを喜ばせた」、と英国の記録が残している。
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